【BookReview】今日もていねいに。♢松浦弥太郎♢

Title 今日もていねいに
Title 今日もていねいに。
Edit 松浦弥太郎
Published 2012年2月17日


「たった一杯のお茶、ほんの小さな一言が、毎日を特別にしてくれる」


見開きの背表紙に書かれたこの言葉は

私の理想的な暮らし 価値観そのもの。

やるべきこと、やりたいことに追われる毎日の中で
ついつい丁寧に暮らすこと、一つ一つに心を込めることって忘れてしまう。

この本に出会えた時もちょうどそんな時期でした。

何者かにならなくては、力をつけなくては、
と、家庭や暮らしのことは後回しに、自分自身の勉強や自己投資に精を出していて。

毎日自分でも、生き急いでいるな、焦っているな、と薄々感じていました。

同時に毎日の中で感動すること、心が動く瞬間もどんどん減っていて
心がカチコチに固まりかけていました。


何か普段手に取らない本が欲しい、新しい考え方や価値観に触れたい
そう思っていた時に、この本に出会うことができました。

自分をととのえることの大切さ


この本は以下の4章から構成されています。


はじめに〜目覚めたときの深呼吸〜
第1章 すこやかな朝ごはん 〜自分をととのえ、暮らしの基本を作りましょう〜
第2章 とびきりのランチ 〜人や社会とのつきあいに、秩序と喜びを加えましょう〜
第3章 しなやかな人生のためのアロマ 〜生きていく知恵と楽しみを知りましょう〜
第4章 おだやかな晩ごはん 〜いくつもの今日という日を丁寧に重ねましょう〜
おわりに〜明日を待ち遠しく眠りたい

第1章が〜自分をととのえ、暮らしの基本を作りましょう〜では
何をするにも、まずは自分をしっかり整えること、いつも自分が心地よい状態でいることが
1番大事だなと、改めて気づくことができました。

同じ景色を見ても、同じ出来事があっても、その人自身がそれをどう受け取るか次第ですよね。

自分が心地よい状態で、心の余裕があれば、
嫌な出来事だって良い方向に捉えることができたり、人の小さな親切にも気づけたり、
自分から気を遣って人に優しくすることだってできます。

そんな自分をととのえる方法が、誰にでもできる些細なことばかり書いてあるので、
ぜひ、今自分自身に迷いがある方や、余裕のない方に読んで欲しいです。

小さな優しさで見守って育てて


毎日が大好きで楽しい人間関係に溢れていたら
こんなに幸せなことってないですよね。

ただ私自身、器用な方ではないので、人間関係の悩みはたくさんあります。

特に意見が違った時に、正面から相手と向き合ってしまう癖がどうしても直らず
なんだかしっくりいく人間関係が作れないな、と悩んでいたところでした。

第2章、〜人や社会とのつきあいに、秩序と喜びを加えましょう〜では、
そんな人間関係をちょっと良くするための、素敵な心意気や行動が書いてあります。

全部を取り入れることはできなくとも、
自分が心に響いたことを毎日ひとつでも意識できたら、と思い一つずつ取り組んでいるところです。

日常を楽しくする小さなヒント


毎日がルーテインばかりでつまらない、
何か刺激のあることに触れたい、大きなイベントや旅行がしたい!

日常を楽しくするにはどうしたらいいだろう?と思った時に、
私は行動派なこともあり、こんなことばかり考えてしまいます。

でも、毎日イベントや旅行をするって現実的には難しいですよね。

第3章〜生きていく知恵と楽しみを知りましょう〜では、
暮らしの中でのほんの小さなことにエッセンスを加えて
それまで気づけなかった発見や、新たな感情に出会うことができるヒントが書いてあります。

大きなお金や多くの時間をかけなくても、
毎日の中にちょっとした工夫をするだけで、暮らしが少しずつ楽しくなりますよ。

今日もていねいに


「ていねいに暮らす」ということは、
シンプルなように聞こえますが、簡単にできることではないですね。

仕事や子育て、家族のこと、しなければならないこと、
目の前のことに必死で毎日を送っていると
「暮らし」ということ自体に、なかなかフォーカスを当てられなくなってしまいます。

第4章〜いくつもの今日という日を丁寧に重ねましょう〜では、
普段意識することのない「暮らし」の中で

少しだけ手間をかけること、少しだけ心遣いをすることで
毎日がじんわり温かくなるような、優しい言葉たちが書いてあります。

「おいしい食事のように、ほっと安らぐお茶のように、日々を味わっていただけたら幸いです」


私がこの本を読み終えて感じたことは、
「何気ない毎日でもこんなに発見で溢れているんだ」ということでした。

自分自身のこと、人との関係のこと、暮らしのこと、
どのことも、自分自身がていねいに一つ一つ向き合っていければ

たくさんの工夫ができ、たくさんの発見があり、
そこに幸せな気持ちが優しくついてくるんだなと思いました。

大人になるなかで、自分自身の軸や信念はぶらさずとも、
新しい価値観や考え方は、柔軟に取り入れ、学び続けることができる人でありたいです。

大きく私の価値観を変えてくれたこの本に、とても感謝しています。
「今日もていねいに」を毎日に少しずつ取り入れていきたいと思います。


著者について

松浦 弥太郎 まつうら やたろう
「くらしのきほん」主宰 / エッセイスト

2005年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年7月にウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。2017年、(株)おいしい健康・共同CEOに就任。「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。

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